令和五年 初場所 七日目
始まりがあれば、何に出も終わりがやってくる。
鏡山親方は今場所限りで定年退職に。
そして元関脇・隠岐の海は現役に別れを告げて、人生の次なるステージへと歩みはじます。
親方での目標は。
「八角親方のような親方になること」
八角親方と並んで照れながらそう答えた隠岐の海ですが、その表情からは大きな野望が透けて見えました。
「八角親方のようにってことは。」
「目標は…。」
「目指すは理事長の椅子、ただひとつッ!」
ええんやないかい、ええんやないかい。
親方なってからもずっと番付に縛り付けられてばかりじゃつまらない。
元関脇だろうが、元横綱だろうが、元平幕だろうが、大相撲協会を共に盛り立て、動かし、運営していくことには変わりなし。
現役時代番付上位だったからと言って、マネジメント能力に長けてるとは限りません。
相撲はパッとしなくても、運営能力、経営能力に秀でる人はいるはずです。
髷を落としたら、番付よりも能力主義で。
切り替えはやくやってゆかねば、今の世の中大相撲協会と言えどもやってゆけません。
今を生きる現役の土俵上では、熾烈な戦いが繰り広げられています。
先場所の勢いのままに乗り込んできた、阿炎を豊昇龍が2敗に引きずりおろします。
【始まりは突然に】
ドドーン
ガタン
豊昇龍「大丈夫ですか?」
阿炎「……」
阿炎「…す、ステキ♡」
恋の始まりはいつも突然♡
豊昇龍、阿炎の突っ張りを下からあてがいながら上手くいなして、寄り切り。
足腰の良さ、相撲の感の良さが光ります。
結びの一番は翠富士と貴景勝は張り手も互いに飛び出す熱戦に。
善戦する翠富士を渾身の小手投げ。
貴景勝は連日血を流しながら、結びの土俵を懸命に守ります。
6勝1敗 貴景勝 大栄翔 碧山 琴勝峰
まだまだこの中で決まるものですはないですが、この中では大栄翔の動きの良さが光っています。
よほど正月にいいものを食べたのでしょうか。
2年前の初優勝のような、キレッキレな突き押しで対戦相手を西へ東へと突き飛ばしています。
押し相撲の良い波に乗ってこのまま勝ち星を重ねてゆけば、後半戦の主役となっていきそうな気配です。