令和三年 九月場所 二日目
やや緊張した様子が初々しくもある新横綱の土俵入り。
基本に忠実な土俵入りを久しぶりに見ながら改めて、今まで見なれていたもののクセの強さを改めて実感する今日この頃です。
いえね、クセの強いもの私嫌いじゃないんですよ。
ほらベテラン演歌歌手が持ち歌をアレンジ強めにして、妙に間を開けたり、流したりして歌い方に変化をつけている様子を時折目にすることがありますが、白鵬の不知火型もまさにそんなベテランのなせる業。
あの四股に映る前の妙な溜めや、縮こまった腕の返しなども、ベテランならではのアレンジだと思えば味わいも増すものです。
ただあまりに長い時間見続けてしまっていたので、本来の不知火型を忘れてしまい、今場所久しぶりに
基本系を目にすることが出来て、あぁ本当はこんな腕の運びだったのか、あぁ本当はこんな風に四股を踏むものだったのかと忘れかけていた記憶を呼び覚まし軽い感動すら覚えています。
同じ所作をする土俵入りにも個性がにじむ人の行。
基本の不知火型と、変異変化した白鵬型を見比べる来場所が今から大変楽しみです。
見比べるといえば、二日目後半戦の土俵には土俵を沸かせる小兵同士の姿が。
ジロジロ
ジロジロ
宇良「へ~。これがヤンキーさんか・・・」
宇良「想像以上に小さいな。」
照強「どつくぞ、こら。」
宇良、ヤンキーに散々どつかれて流血。
ちょっとヤンキー、ケンカじゃないんだからあれはいくら何でも張りすぎ。
「上位のお相撲さんは怖いですね。」と鼻血を流しながら、ヤンキーとの遭遇を振り返る宇良ですが、こりゃ照強、宇良ファンを敵に回したな。
塩も宇良の生涯使用量を1回で消費する豪快さを見せる照強。
同じ小兵枠に入る二人ですが相反する個性で、これから幕内の土俵を盛り上げる両人となりそうです。
それにしても結びの後に訪れた、なんというサプライズ!
聡ノ富士の弓取り式をまた見られようとは!
肩を痛めた将豊竜に代わりピンチヒッターで土俵に入った聡ノ富士。
何の迷いや気負いもなく弓を掲げてスッと土俵に入り、弓を手にした姿はあの日のまま。
もちろん歳を重ねた変化はありますがそれは万人誰もが同じこと。
昨日まで続けていたような洗練された弓さばきや決まった腰の構えに時が巻き戻ったようでした。
土俵入りを裏方でサポートする様子はちらちら見えていましたが、照ノ富士新横綱の場所にこんなサプライズがあろうとは。
新横綱の場所に花を添えた一幕となりました。