令和三年 名古屋場所 千秋楽
決戦の千秋楽。
土つかず無敗の14連勝でたどり着いた両雄。
15勝全勝を手にするのはどちらか。
両雄が今、相対します。
【時の流れ】
照ノ富士「・・・・・・。」
照ノ富士「・・・・・・。」
照ノ富士「・・・・・・。」
照ノ富士「・・・・・・。」
白鵬「何だよ、人の顔じろじろ見て。」
照ノ富士「なんか、老けたよね。」
白鵬「・・・!!」
いや実際、優勝インタビューの顔見てそう思ったんです。
この人も老けたなーって。
15日間の疲れも相当あったからなんでしょうけど、なんというかめっきり老け込んで、疲れがどっと出たような顔つきに。
目の下に陰りが出て相当お疲れのご様子。
その上イヤホンを入れてないもんだから質問を聞き返す様子が、おじいちゃんのようにも見えてしまいます。
45回目の優勝は想像以上に心身を削るものだったようです。
そんな心身を削った15日間の心の叫びなのか。
千秋楽の一番、勝利を手にした後の爆発した表情が。
とても怖いよー。
取り口のことは今さら私がどうのこうの言いませんが、なんて言うかこの本能むき出しの顔って言うのか、闘争心の塊って言うのか。
大変失礼な表現ですが、ホラー映画で憑き物が飛び出して本性を見せた時のような、そんな恐ろし気なものを一瞬見た気がして、夢に出てきたらどうしよう(涙)
あ、夢といえば。
人の夢の話ほどつまらないものはない、といいますが昨晩見た夢というのが。
更衣室に駆け込んで、急いでまわし締めてた夢でした。
まわしなんて実際一度も締めたことなどありませんが、さすがは夢。
上手に一人で締めました。
ちなみに色は黒まわし。
目標の関取り目指して頑張ります!
話は大きく脱線しましたが兎にも角にも、執念で掴んだ白鵬45回目の優勝、おめでとうございます。
私が恐怖でおののいた、あのホラー顔も元を辿れば勝つことへの人一倍の強いこだわりと、それを裏付けるだけの努力の積み重ねから発したもの。
要所要所の勝ち方には賛否両論ありますが、勝負への厳しさは誰よりも強いものであったことは間違いありません。
照ノ富士も今日の1敗が横綱に昇進した後の原動力となりそうで、全身全霊をかけた勝負は互いに強い影響を与えあうことになります。
今場所にかける情熱、この一番にかける気迫。
多くの力士には見習ってほしいところです。
今場所は早くから照ノ富士、白鵬の二人に絞られた優勝争いになりました。
これはこれで緊張感の高まる面白い戦いだったのですが、場所全体を見ると少々退屈な内容になったように感じます。
二人とそれ以外の力士の差がありすぎて、盛り上がりが波及しなかったのか。
相撲内容が全体的に単調だったのか。
どちらにせよ、相撲技量が特定の力士以外は一様に落ちているように思えます。
コロナ禍の下、制限のかかる稽古環境ではや1年以上。
出稽古、連合稽古、巡業など、様々な稽古の機会がコロナによって奪われていきました。
他のスポーツと違い肌と肌を直接合わせる大相撲は大変感染リスクの高い競技である以上、厳しい制限をかけて力士たちを守ることはとても重要です。
ですが1年以上が経った今、ワクチン接種は進み、協会挙げてのコロナガイドラインをしいた今日においてはそろそろ出稽古、連合げいこの復活を始めた方がいいような気がします。
出稽古にしても、誰々がいつ、どこの部屋に出稽古に行ったかを、協会に届けて力士たちの接触把握しておけば、もしもの時には対応できるわけですし、そもそもガイドラインをしっかり守っていれば感染のリスクは協会全体で減らした状態を維持できるはずです。
このまま各部屋だけの稽古を続けていれば、これからさらに加速度をあげて相撲技量は落ちていくことになりはしないでしょうか。
一度落ちたものを元に戻すのはそれまでの2倍3倍と労力がいるものです。
稽古の質量が減れば怪我も増えるし、何より見ている方もつまらない。
大相撲文化の発展、継承のためには、相撲技量の底上げは何よりも大切です。
八角さん、面白い相撲が見たいよ。
そのために一つみんなで知恵を絞ってくださいよ。
今週はついにオリンピックは開幕します。
始まる前から無事に終わることを祈るオリンピック。
異様な感じもしますが、そのオリンピックを終えた後。
暦の上では秋を感じる9月の11日に九月場所が始まります。
それでは。
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