令和三年 名古屋場所 九日目
子供のころ抱いた夢は二つ。
一つは力士になること。
もう一つは・・・。
「歌手~になりたい~~~♪」
あの日から20年以上の歳月を経た今。
二つの夢をかなえようとしている勢。
放送中に飛び出した、「歌手になりたい宣言」。
生放送の大相撲中継、放送席に動揺が走ります。
【三択】
太田「勢、歌手になりたいって言いましたね。」
舞の海「言いましたね。」
太田「ねえ舞の海さん。」
太田「勢、北の富士さん、増位山。この3人で誰のレコードがほしいですか?」
舞の海「・・・・・。」
舞の海「できれば、どれも欲しくないですね。」
太田「ですよね。」
放送中に飛び出した、歌手になりたい宣言は増位山への宣戦布告か。
勝負の世界で生きてきた力士たちの闘争心は、土俵を下りてもそう簡単には消えません。
戦う場を土俵からステージへ替えて、増位山の牙城を荒らしに行くのか、勢改め春日山。
元力士たちの果てしない下剋上の戦いは、いつまでも続いてゆきます。
ところで、増位山や北の富士のように歌手活動をしていた、意外な人がいたことをご存じですか。
私は今しがた知ったのですが。
実はこの人も歌っていました。
琴風こと尾車親方。
それが1枚だけではないようで。
石川さゆりなどの女性歌手とのデュエットソングをレコーディングを数々こなし。
そのうえ作詞家に、なかにし礼、星野哲郎。
さらには作曲家に、三木たかし、猪俣公章。
昭和歌謡をけん引してきた、そうそうたる音楽家たちによる楽曲提供。
今でこそ協会の理事で固い地位に座っていますが、この布陣を見ていると相当、本腰を入れて取り組んでいたことがうかがえます。
場所も後半戦に差し掛かってきたのでそろそろ、歌手・琴風豪規の放送席入りも近いと思いますが、新たな一面を発見した親方がまた違って見えてくるかもしれません。
ちなみに、歌声は柔らかな甘口でした。