令和五年 五月場所 九日目
本場所中にも地震が起きたり、デヴィ夫人がやって来たり。
日々いろんな事が起きています。
いつも何かが起きる日常。
毎日同じことを恙なく務めてゆくのも、並大抵のことではありません。
ザワザワ
呼び出し「……。」
呼び出し「弱ったなぁ…。」
呼び出し「…まさかのイヤイヤ期だよ。」
行司「今日は行かないもんッ。」
伊之助、イヤイヤ期突入。
先日引退した栃ノ心。
協会には残らない引退力士がこんなに早くゲストに呼ばれることは、異例中の異例。
これもそれも、心様の現役時代の偉業を称えてのことなのでしょう。
心様、お疲れさまでした。
思えば栃ノ心を心様と呼ぶようになったのは、母の影響。
目覚ましい復活劇の途中の心様のファンになった母が、初めて相撲観戦にいく私に「くれぐれも心様によろしく」と言ったのが発端でした。
あの時期の心様は本当にすさまじい強さでした。
一生分のアドレナリンをあの時に放出してしまったのではないかというほどに、毎日毎日心様は身体中で燃えていました。
もちろん心様に母のよろしくは伝わらずに今日に至りましたが、心様の諦めない姿勢、燃える相撲は今も胸に焼き付いております。
多くの苦難を乗り越えて、戦ってきた青い瞳は暖かくて優しい色をしていますね。
落ち着いた人柄に深い人間性がにじむ35歳。
協会には残らない選択をしたらしいですが、心様ならば協会のような小さな社会に縛られるのではなく、もっと大きな世界で活躍できる人物だと感じます。
断髪までは部屋に残って大好きな親方からこき使われるようですが、日本とジョージアの垣根を超えて第2に人生はさらに飛躍なさることと思います。
舞の海「あ…!外人さんだ。」
舞の海「は、ハロー。」
心様「ハロー。」
舞の海「つ、通じた!」
出会いがあれば、別れ有り。
心様、じゃーね。
心様、またね。
土俵は横綱が負けて、1敗勢3人、2敗勢4人の展開に。
横綱に勝った明生は動き勝った横からの攻めは見事。
これから関脇勢との土俵が続いて行く横綱ですが、今日のような厳しい相撲が続くことも予想されます。
どうにか崩れる膝をどうにかここまで持ちこたえてさせてきた、大関の貴景勝ですがさすがに錦木を押し切れるほどの余力はなく痛恨の3敗目。
横綱と同じようにこれから先、2勝が遠くなっていきはしないかと不安がよぎる後半戦となりました。
霧馬山は調子のいい大栄翔に逆転の突き落としが決まっての7勝2敗。
舞の海は土俵際の余裕を感じたようですが、今場所の霧馬山は大関昇進の重圧なのか勝ち負けばかりが先立つような、相撲が目立つのが非常に気なります。
負けられない、勝ちたいと思えば思うほどに身体は動かなくなってゆくものです。
相手のことばかり考えずにまずは自分の相撲に集中することです。
若元春もやや好不調の波に翻弄されながらも、勝機に地力を発揮して2敗をキープ。
日を追うごとに取り組み後の顔つきが神妙さを増しているのが、やや気になりますがこのまま粘って優勝争いに名を連ねてほしいものです。
そして勝ち越しを決めた8勝1敗の朝乃山。
ここら辺では勝って当然の番付ではありますが、朝乃山がいた頃とは周囲の状況は様変わり。
明日はこれまた好調の期待の若手、平戸海戦。
楽しみな一番が組まれました。
明日で中盤戦も終わり、優勝の行方は番付の枠を超えた様相になってきました。