令和五年 五月場所 初日
横綱、大関が久しぶりに揃い、活気も戻った五月場所。
横綱の復活、貴景勝のカド番、朝乃山の幕内復帰と随所に見どころがちりばめれた今場所ですが、今場所の注目と言えばこの人。
この人の大関昇進です。
……
付け人「関取り……」
付け人「関取り……?」
付け人「はっ…!まさか…!」
付け人「タオル、生乾きだったんじゃ!?」
生乾きのタオルって失神しそうな臭いに仕上がっていることがあります。
煮沸すれば雑菌は消えますが、五月場所が終わればあの悩ましい梅雨がやって来ます。
力士たちのタオルも、徹底消臭、徹底除菌が肝要です。
大関昇進と挑む初日霧馬山、硬さが目立って土俵際の白星。
彼を見るといつも赤塚不二夫の描くウナギイヌが思いだされますが、早々巡っては来ない大関昇進のチャンス。
今までのように焦らず自分の形を作りながら攻める相撲を続ければ、自ずと昇進への道は開かれるはず。
自分の型で勝負せよ。
前出の朝乃山も絶好の好スタートを切りました。
こう言っては何ですが、幕内復帰の初日としてはとてもちょうど良い相手があてがわれました。
大きからず小さからず。
さりとて重からずの千代翔馬。
立ち合いの変化にだけ気を付けていれば、気持ちよく持って行ける取り頃のお相手です。
まあ元大関だから当然と言えば当然ですが、今日の復帰をどれほど多くの人が待ち望んだことか。
1年以上の休場を経て、戻って来た幕内の土俵は勢力図がガラリと塗り替えられた、別世界。
大関復帰へは険しい道が続くと想像されますが緊褌一番、もうひと山ふた山越えるつもりでやり遂げてほしいものです。
そんな朝乃山より一足先に大関に届きそうな位置にいる、若元春。
今場所は弟・若隆景の戦線離脱で兄弟三役とはなりませんが、初日は上手さと強さを見せる上手出し投げで、相撲巧者の遠藤を土俵に転がしての初日。
素質の良さに稽古量が掛け合わさることで、相撲の取り口も大きく奥行きが出てきました。
これは今場所の活躍が否が応でも高まります。
そしても一つ。
若元春が勝つと楽しみなのが、勝ち名乗り。
若元春が西にいる時にしか目にすることが出来ない、鮮やかな下がりの持ち替え。
西部劇の早打ち拳銃のように、くるっと回る黒下がり。
わずか2秒間の鮮やかな手技、是非ご覧ください。
それにしても大関と横綱がいるって、安心感が違いますね。
先場所までは取り組みの時間経過すらわからず、「え!これが結びなの??」と驚くこと再三。
あとどれくらいで取り組みが終わるのかもよく変わらず、まるで文字盤のない時計を見ているような、不安な気持ちにもなったものです。
あれを思えば、たしかに大関と言う地位は大相撲には絶対に必要な気がします。
だからといって舞の海が提案する一斉昇進も困りますが、番付あっての大相撲。
順当に出世の階段を上ってもらうことは大切です。