令和四年 九月場所 千秋楽
千秋楽の直接対決は、高安を強烈なおっつけから状態を浮かせての、強烈な突き押しで、今場所15日間凝縮したような相撲で、玉鷲の2度目の優勝が本割で決まりました。
おめでとう!玉鷲!
優勝年齢37歳と10か月。
旭天鵬の記録を抜いて、戦後の記録を塗り替えて記録の面でもまた鉄人ぶりを表しました。
今場所を戦い抜いた角界のレジェンドとなった玉鷲。
この栄誉を称えるセレモニーの幕が今開けます。
【褒美】
ザワザワ
若者頭「優勝の褒賞は何かねぇ~。」
若者頭「ま~た、でっかいマカロンなんかじゃないだろうねぇ~。」
世話人「お待たせしました~。」
世話人「ご褒美のシュッシュでーす。」
玉鷲「あざーっす。」
毎日毎日、消毒液片手に力士たちの手指の除菌に明け暮れる姿が、花道奥にありました。
土俵入りから列をなして戻ってくる力士たちの手にテンポよく、消毒液をスプレーし続ける世話人の背中。
一体土俵入り中の行動の何が消毒に値するのか…。
そんな疑問が時々頭をよぎりましたが、大きな体で一人一人の力士の手のひらめがけて噴射する様子は、コロナ下の新たな風物詩となりつつあります。
それにしても玉鷲といい、旭天鵬といいモンゴルの人は丈夫で長持ちですね。
四つ身と突き押しとで全く相撲のタイプは異なりますが、どちらも明るくて前向きな人柄という共通点があります。
制限の多い世の中で自分ができることを最大限にやり続けた結果が、今場所の2度目の優勝につながったのは言うまでもありません。
照る日も雨の日もコツコツと自分ができることを続ける大切さ。
前向きな気持ちとやる気があれば、困難も越えていけることを今回の優勝で証明した玉鷲は、多くの力士にとっての見本となり、コロナはもう言い訳にならない事を示しました。
あと一歩で優勝を逃した高安ですが、インタビュールームでは力を出し切った満足感からでしょうか、悔いを感じさせない堂々とした爽やかな印象を受けました。
以前なら熱く燃えるような目を見せることが多かった高安ですが、今場所は土俵に上がる前も下がった後も平常心を保っているようで、精神的な落ち着き、成長を感じられました。
結果として今場所は準優勝となりましたが、この調子で行けば近い将来高安が優勝賜杯を抱ける日は必ずやってくる、そんな予感がする千秋楽となりました。
今場所は終盤に玉鷲と高安に注目が集まったので、「たまわし、たかやす」と繰り返し口にしていたら、先日ついに「たまやす」とまとめて呼んでしまいました。
二所一門の同門の玉安。
来場所の玉安たちの活躍が、また場所を大いに盛り上げることとなりそうで今からとても楽しみです。
今場所は上位の大不振を、期待の力士たちの活躍が穴を埋めてくれました。
二大関の千秋楽の相撲にため息の52代。
脳内でザピーナッツの恋のバカンスが流れ始めましたよ。
♪ため息の出るような
♪あなたの取り口に
♪甘いことを夢見る
♪力士ごころよ
甘い気持ちで土俵に上がって務まるほど、大関の地位は甘くはない。
これまでの自分を猛省して、明日から稽古に励むしかありません。
生まれ変わるつもりで死に物狂いでやる。
そうすればいつか光は差し込みます。
今場所の土俵を大いに沸かせた、翔猿、若隆景、若元春、錦富士、宇良、霧馬山、北勝富士、佐田の海…。
ベテラン若手を交えた若手から中堅の力士たちが、力を付けてきたことで土俵は活気づき面白い取り組みが増えてきました。
時代は常に流れていますが、大きな流れとなってこれからは幕内後半の顔ぶれも変えていきそうな気配です。
これからしばらくはそのとき調子の良い力士が優勝する場所が続きそうではありますが、見ている方は毎回新鮮な感覚で楽しめます。
一強多弱の時代が長く続きましたが(政治ではなく土俵)、これからは群雄割拠の戦乱の世に突入していくのか。
今年の大相撲も残すは九州場所のみ。
九州場所はどんな顔ぶれが中心のなるのか。
早くも来場所の展望が楽しみな千秋楽です。
今場所もお付き合いくださいましてありがとうございました!