令和三年 五月場所 十三日目
場所も大詰め13日目ともなると優勝争いとはまた別に、それぞれの星勘定をかけた熾烈な戦いが繰り広げられ、皆一段と厳しい表情をしています。
【無視】
ザワザワ
秋治郎「おや?」
秋治郎「おーい、カイセー!」
秋治郎「おーい、カイセー!」
秋治郎「カイセー―――!」
魁聖「・・・・・・。」
魁聖ガン無視。
しかし現実的には秋治郎のあの声を無視するのは至難の技でしょう。
遠くまでよく響くあの声はまるで波動砲です。
それにしても取り組み前では、さすがの魁聖も厳しい表情をしているのですね。
真剣勝負を前にしてより集中を高める大切な時間。
このときの1分1秒は勝敗を分けるといっても過言ではなさそうです。
【祈り】
貴景勝「神様・・・。」
貴景勝「どうか、土俵際で。」
貴景勝「遠藤が。」
貴景勝「かわしませんように。」
貴景勝「かわしませんように。」
貴景勝「かわしませんように。」
貴景勝「・・・・・・。」
貴景勝「おい、お前もちゃんと祈っとけよ。」
付け人「うっす。」
付け人の祈りが足らなかったのか。
土俵際見事にかわされ、貴景勝10勝3敗。
それにしても今日はいつになくご機嫌遠藤。
この人が笑っているのを見るのは、煮込みラーメン以来です。
どうやら長く付け人を務めてくれた同部屋の力士が、今日が最後の土俵だったらしくどうしても勝ちたかったんだとか。
いつもは素っ気ない遠藤もここぞという時は結構しゃべります。
そう言えば、約1年前の熊本の豪雨災害でも被災した知り合いについて語っていました。
クールに見えて実は義に厚い上杉謙信タイプとみた。
そんな越後の龍ならぬ能登の龍、遠藤聖大。
明日は連続優勝に大手の照ノ富士と直接対決へ。
盤石の強さを誇る照ノ富士を前に、上手さを発揮することが出来るのか?
もしかしたら明日優勝が決まりそうな気配もしてきた、明日14日目です。
追伸:正代、カド番からの脱出成功おめでとう。