令和二年 大阪場所 初日
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、開催か?中止か?無観客か?と場所の開催に注目が集まった今年の大阪場所。
異例の無観客場所を決定し、いよいよ今日は初日。
ついに無観客場所の幕が上がりました。
【土俵の神様】
シーン
「初日に当たり謹んでごあいさつを申し上げます。
公益財団法人日本相撲協会は、社会全体でコロナウイルス感染症の拡大を防いでいる状況を勘案し、また何より大相撲を応援してくださる多くのファンの皆さまにご迷惑を掛けることは決してできないと考え、大相撲3月場所を無観客で開催させていただくこととなりました。」
「本場所を楽しみにお待ちいただいておりました多くの皆さまには大変なご迷惑とご心配をお掛けすることとなりましたが、何とぞご理解を賜りますようお願い申し上げます。」
「またコロナウイルスに感染した皆さまには一時も早いご回復をお祈り申し上げます。このようなお客さまのいない本場所となり、力士にとっても気持ちを整えるのが難しい、非常に厳しい土俵となりますが、それでも全力士は全国各地で応援してくださっている郷土の皆さまやファンの方々の歓声や声援を心に感じ、精いっぱいの土俵を務め、テレビでご観戦の皆さまのご期待にお応えするものと存じます。」
剣翔「・・・・・・。」
「古来から力士の四股は邪悪なものを土の下に押し込む力があるといわれてきました。また横綱の土俵入りは五穀豊穣(ほうじょう)と世の中の平安を祈願するために行われてきました。力士の体は健康な体の象徴ともいわれています。」
「おいおい・・・、いつまで続けるんだよ・・・。」
「床山が髪を結い、呼び出しが柝(き)を打ち、行司が土俵を裁き、そして力士が四股を踏む。この一連の所作が人々に感動を与えると同時に、大地を静め、邪悪なものを抑え込むものだと信じられてきました。」
剣翔「あぁ。神様・・・!」
剣翔「どうか、八角の口を塞いでくださいッ!!」
「そしてある日、お爺さんは山にしば刈りにお婆さん川へ洗濯に行きました。するとどうでしょう、大きな桃が川をドンブラコドンブラコと流れてくるではありませんか。お婆さんは喜んで大きな川を拾い上げ、家に持ち帰ることにしました。お爺さんとお婆さんは早速桃を切ってみると・・・。」
剣翔「・・・ウソぉ・・・」
いやいや。
八角さん、いい内容だったんですよ。
いい内容で文字に起こすとコンパクトにまとめられた文章なんですけど。
なぜか?
なぜだか。
なぜなのか。
八角さんが読むと長~く感じてしまいました。
腰にパンツのようなテーピングをした剣翔にはあの3分間は30分にも3時間にも感じたことでしょう。
腰痛い時にじっと立っているのは地獄ですもんね。
よう頑張ったな剣翔。
ついでに初日を白星で飾れてよかったな。
しかし。
思った以上に無観客はインパクトが大きいですね。
かしわ手や呼び出、行司の声が響き渡る場内は、土俵がいつも以上に厳格なものに映って、それはそれで普段とは違った雰囲気で興味深くもあったのですが、土俵の周りに広がる静寂と闇は何だか異様な光景にも見えました。
今までは画面越しに、やれ手拍子が邪魔だの、声がデカいだの、相撲全然見とらんだのと観客の様子に四の五の言ってましたが、人気力士の一番も声援がなければ無味乾燥にも感じられて、場所の華は意外とお客さんだったのかもしれない・・・とあの騒がしい場内が早くも恋しくなる初日となりました。
場内を包む虚無の影は勝手の違う放送席にも忍び込み、52代も妙に神妙な面持ち。
向こう正面の舞の海はブースという名の暗い小屋に閉じ込められて、まるで飼育小屋の小動物のよう。
これであと14日いくのは結構しんどいですね。
解説者が静寂に飲み込まれてテンションが上がらぬ事態が頻発しそうです。
この静寂のなかでの鏡山、陸奥解説は危険な匂いが漂います。
今場所はしゃべり好きな錣山や舞の海をメインに正面に据えた方がいいかもしれません。
なんなら今は審判部にいる琴錦の朝日山親方のペラペラ解説を復活させてもいいかもしれない。
あのペラペラペラペラどこまでも続くおしゃべり解説を無限に喋らせておけば、この重苦しいほどの静寂の圧力が少しは軽くなることができるかもしれない。
静寂を打ち破るおしゃべりの力。
角界のおしゃべりたちよ。
今こそ皆の力を一つに。
新型コロナウイルスの余波は思いもかけず大相撲の様相まで変えてしまいましたが、残り14日。
誰も怪我せず、病気せず、無事に過ぎますように。
力士の四股に手を合わせて願う、令和の大阪場所です。