令和元年 名古屋場所 千秋楽
名古屋場所の終わりを告げるエンディング。
ジャガジャガジャーンのギターのリフと共に流れる、今場所注目を集めた力士たち。
優勝を飾った力士。
小さな身体で土俵を沸かせた力士。
若い力をいかんなく発揮した力士。
怪我に泣いた力士の姿。
そして、長い土俵人生に幕を下ろした名力士。
そんな名力士との名場面を集めた数秒間のダイジェスト。
そこにいるのは・・・。
あなたですね。
名力士に振り回されて
羽交い絞めにされて
投げ捨てられて
怯えるあなた。
あなた、時天空ですね。
およそ3~4秒の映像でしたが、安美錦にいいようにぶん回されるあの身体のライン、うろたえ方、投げ捨てられた様子からすぐに時天空と気が付きましたよ。
この一番とてもよく覚えています。
技巧派安美錦の相撲がいかんなく発揮された一番で、安美錦の相撲の上手さをこれ以上ないくらいに引きたてていたのが時天空でした。
このエンディングみて、いつの取り組みだったのか自分のブログで調べてみました。
2015年 大阪場所 4日目の土俵だったのですね。
読み返すと、時天空が安美錦に手籠めにされていたんですね。
可愛そうな時天空。
でもこんな負けっぷりも時天空の大きな魅力です。
足技や四つ身で鮮やかに勝つ姿も素晴らしいですが、情けないようなちょっと悲しみを称えたペーソスを感じる負けっぷりは私たちの胸中に深く響いたものです。
こうやって時天空との土俵を知る力士も減っていくわけですが、これも世の常。
時の流ればかりはどうしようもないことです。
エンディングまで見ていて本当に良かった。
懐かしい時天空の姿をありがとう、NHK。
夏の贈り物、しっかと受け取りました。
そうそう。
鶴竜力士三郎、6度目の優勝おめでとう!
今場所は日を追うごとに調子が上がってきたようで、鶴竜の静かな闘志を感じられた場所でした。
鶴竜の穏やかな優勝スピーチが会場を包み、千秋楽の場内は和やかな空気に包まれています。
【和やかな風景】
ワイワイワイワイ
炎鵬「・・・ねぇ。」
炎鵬「ちょっと・・・。」
炎鵬「カメラが見てるよ。」
豊山「あ、どうも。乳首つまんでました。」
屈託ない笑顔で炎鵬の乳首をつまみ続ける豊山。
キミはそんなに炎鵬の乳首が好きなのか?
炎鵬もたいへんだ。
豊山には乳首を狙われ、52代も炎鵬にストーカー的好意を向けつつあります。
人気というのは本人が思わぬ方向に向かうことが多々あるものです。
でも力士も人気商売。
人気はありすぎて困るものではありません。
これから人気力士として土俵に上がり続ける運命にある炎鵬ですが、人気者であるゆえに悩むこともあるかもしれません。
そんな時は同じ人気者のあの人に相談するといいですよ。
【人気と実力】
遠藤「ねぇ、お客さん。」
遠藤「炎鵬、炎鵬って小さな炎鵬もいいけれど。」
遠藤「こういう相撲見るとやっぱり。」
遠藤「遠藤もいいもんでしょ。」
はい、遠藤。
遠藤もとてもいいと思いました。
今場所は身体の調子もいいのか粘りのある相撲で、見ごたえのある取り組みも目立ちました。
淡泊な相撲が続いてしまうとそのうち舞の海が、「昔えんどう、今えんほう」なんて揶揄したことを言い始めやしないかと、警戒しておりましたがこの調子ならそんな心配はおろか、三役返り咲きを機に大きなステップアップする大躍進もあるかもしれません。
人気は水物。
大相撲人気低迷の折に、すい星のごとく現れた角界の救世主だった遠藤。
一時期は遠藤一人に背負わされた人気回復への旗印。
そんな役回りを負担に思ったり、理不尽に感じたこともあることでしょう。
だからこそ遠藤はきっと、「人気は水物」であることを知っていることと思います。
人気の遠藤から、実力者遠藤へ。
遠藤の脱皮がいよいよ始まる予感です。
しかし、終わってみれば今場所は充実した場所となりました。
4大関が次々と姿を消した時はガッカリしたものですが、よくよく考えてみればそもそもそんなに期待しているわけでもなく、いないならいないなりに注目力士は新たに生まれ場所はまとまり盛り上がっていくものだと感じました。
来場所は幕内上位の顔ぶれも刷新されて行きそうですし、復帰する大関陣も死に物狂いでいかないと、大関の座を守ることは難しくなりそうです。
こうやって新陳代謝を繰り返しながら、世代交代は進んでゆきます。
令和の九月場所はどんなドラマが繰り広げられるのか、暑い夏を乗り越えて初日を待ちたいと思います。
それでは好角家の皆さん。
厳しい夏がやってきます。
お身体大切にお過ごしください。
今場所もお付き合い誠にありがとうございました。
行司のブログ