平成29年 九月場所 六日目
豪華絢爛だったコース料理もメインの肉が消え魚が消えデザートが消え、ついには一汁一菜ならぬ一横綱一大関の場所に。
でもこれはこれでいいんじゃないですかね。
豪華であれば必ずしも美味しいとは限らないですし、しっかり出しをとった汁物は栄養素抜群でうまみも豊富。
旬の野菜は栄養たっぷりで季節のそのものを味わうこともできます。
何でもしっかり味わってよく噛めば、おのずと感謝の気持ちも湧くものです。
そして日馬富士も3連敗に終止符を打つことができました。
よかったです、安心しました。
若干腰が高いような気もしましたが、とにかく負のスパイラルを断ちきることがまず大切です。
自分の相撲を取り戻すことが冴え出来ればまだ六日目、結果は後からついてきます。
そんな横綱の復調の呼び水にと、部屋のベテランが熟練の技で音頭をとってくれました。
業師による伝統の技、今再びの再演。
その名も
「徳利投げ」。
【世代】
呼び出し「ねえねえ。」
安美錦「なんだ。」
呼び出し「徳利ってなに?」
安美錦「あ~・・・。」
安美錦「お酒を入れて注ぐ器だよ。」
呼び出し「え~、知らない。」
安美錦「じゃぁ・・・ほら、首の詰まったセーターあるだろ。アレだよ。」
呼び出し「あ~~ぁ!」
呼び出し「タートルネックのことねぇ。」
安美錦「何だよ・・・、その目は・・・。」
とっくりのセーターなんて一昔前は言っていたものです。
それが今ではすっかりタートルネックにとって代わって・・・(涙)
あの形はどう見ても亀の首よりも徳利だろうに。
安美錦に似合うのは絶対タートルネックのニットじゃなくて徳利のセーターですよ。
おいッ!日本人よ!!
何でもかんでも新しく言い換えればいいってもんじゃないぞ!
先日の大成道の投げた徳利は小ぶりな一号徳利でしたが、今日の徳利はなんと立派なことよ!
一升徳利投げ!!!
さすが業師、投げる徳利の大きさもキレも一味違いました。
キレと言えばいつも切れのある身のこなしで私たちを魅了する行司の晃之助さん。
今日の大英翔―荒鷲の一番での軍配の早いこと早いこと。
大英翔が荒鷲を寄り切ったと見るや否や流れるようにそしてサッと東へ軍配団扇をあげるその姿には、無駄な動きというものは一切ありません。
取り組み事態も早さが目立ちましたが、その取り組みに早さに呼応するように一段とキレのある動きでした。
晃之助さんは家で過ごすときも土俵での体の動きを意識して無駄のない動きを心がけていらっしゃるのではないでしょうか。
ティッシュペーパーをとりに立ち上がる時も、土俵を意識した身のこなしで一枚をサッと軍配を上げる様に取り出したり、ごみ箱に投げ入れて床に落ちたティッシュを拾うときも土俵上に落ちたさがりを拾うつもりで東西に投げ分けたり・・・。
日々の鍛錬なしではあんな動きそうそう出来たものではありません。
常在土俵上の精神で毎日を送っていらっしゃるのだと思います。
晃之助さんが立行司になられる日がこれからどのくらい先なのか見当もつきませんが、その日が来るまで私も相撲を見てゆきたいと思います。
話は変わりますが逸ノ城。
ここ2日間は賢い相撲をとってますね。
ちょっとびっくりしてますよ。
びっくりとえいば毎度のことなですけど。
【眼光】
船岡「今日は玉ノ井さんのモゾモゾを眼力で止めてみせます。」
玉ノ井「モゾモゾモゾモゾ」
玉ノ井「え~・・・モゾモゾ・・・。」
玉ノ井「なんか・・・怖いなぁ~・・・モゾモゾ・・・。」
船岡「・・・・・・。」
船岡「カッ!!!」
玉ノ井「・・・う、動けない・・・。」
今日はいつもよりモゾモゾしませんでしたね。
夏の巡業大盛況だったようですね。
私は以前巡業は少ない方がいいのではないかと思っていましたが、いやいや巡業はとても大切ですね。
大相撲が長く続いているのは巡業あってこそではないでしょうか。
年間6回の本場所では東京、名古屋、大阪、福岡の4都市のみに場所は限られます。
地方場所と呼びはしますが、名古屋も大坂も福岡も大きな地方都市にほかなりません。
語弊はありますが地方都市は東京のミニチュア版がほとんど。
本当にその土地を知るにはその県の小さな市町村に足を運ばなくては分らないものだと思います。
本場所の開催地から遠く離れた町に降り立ち、その町の匂いを嗅ぎながら土俵に上がり相撲をとり、やって来たファンと触れ合う。
時にはそこが力士の誰かの故郷であったりするわけで、故郷に錦を飾った姿を他の力士たちと共に喜びあえることはとても素晴らしいことだと思います。
親方衆がよく口にするように本場所に足を運べない人に相撲を見せるという意義もありますが、力士たちに自分たちがどういった人たちに支えてもらっているのか、直に感じることができる貴重な体験であるとも思うのです。
本場所に足を運んでいる人はごく限られた人たちでその後ろにはどれだけの人が大相撲を楽しみにしているのかを草の根のファンの一人ひとりの体温から感じ取ることで、国技に携わることの重み意義を知るとても良い機会だと思います。
体調などでやむを得ず参加できないのは仕方のないことですが、若手ベテラン関係なく出来る限り参加して日本の津々浦々を訪ねて大相撲を支えるリアルな日本の姿を目にしてほしいとこの頃そう思うようになりました。
そのためにも協会も力士の負担が減るような移動手段をとるように工夫するのも大切でしょう。
力士も移動に耐えられないような大きすぎる身体についてはよくよく自分自身を見つめなおしましょう。
明日から3連休。
なんだか妙に強そうな台風がこっちにやって来ています。
九州に来るときは台風の奴はいつも活きがいいので困ります。
明日まだ何事もなければ、またお会いしましょう~。